各々、指揮する者達に指示を飛ばしながら戦場を駆ける
二閃の　赤い風

その二つの風が戦線で交差を果たした時

交わす言葉なしに、自然と背中は合わさり
瞬間――
戦場には、旋風が吹き起こる
＊＊＊

まるで前もって申し合わせていたかのように、合う呼吸
死角を襲う敵を互いの双剣が屠り
振り向きざまに交叉した白刃が 一気に四方の敵を切り裂く

二対の双剣の軌跡は鮮やかに戦場を走り
その先に倒れ臥さぬものなど無い

絶え間なく駆ける疾風に切り裂かれ
既に敵の包囲網は意味をなしてはいなかった

――道は開けた

「いまだ！　敵艦のブリッジを制圧しに向かう！」
「この機会を逃すな！　我々は甲板に残った連中を抑えるぞ！」
＊＊＊

そしてまた、言葉を交わすことなく背は離れ
戦端を開いた二陣の風は何事も無かったように互いの戦場へと
戻っていく