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手合わせ 〜 セスVSハーヴェイ
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ガギッ!
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鋼鉄を削りとったような耳障りな音を立てて、白刃がぶつかり合う。
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ハーヴェイの幅広の剣とセスの双剣が交差し、軋んだ。
膠着した体勢のまま、軽く息を弾ませた2人の視線が刃を挟んで近距離で重なる。
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濃い緑の瞳が笑みを含んで海色の双眸を見下ろした。
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「さて。いつまでそのままの体勢を取ってられっかな?」
「!」
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上からセスを押さえ込む姿勢のハーヴェイは、挑発的な笑みを口元に浮かべて更に腕に力を込めた。
じりじりとせめぎ合う剣の刃からはぜ落ちた火花が、2人の汗の玉と共に足元の砂に吸い込まれていった。
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「……くっ」
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全体重で上から圧し掛かるハーヴェイを押し留めるセスの顔が苦痛に歪む。
身長差は殆ど無いが、成長途中のセスと年月をかかけて鍛え上げられたハーヴェイの体格には歴然とした差がある。
今の体勢は、セスにとって断然不利であった。
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負荷を受けた刃が、抗議するようにぎちりっと嫌な音を立てた。
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「どうした、もう仕舞いか?」
「――っそ…なわけないだろうっ!」
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タイミングを見計らってフッと力を抜き、同時に体を軽く沈める。瞬間に出来た隙をぬってハーヴェイの剣の下から抜け出し、間合いをとった。
時を置かず距離を詰める。
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「たぁっ!」
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鋭い掛け声と共に地面の砂を抉り蹴り、セスは高く飛び上がった。
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電光一閃。
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上段から、落下の加速のままに鋭く撃ち下ろした双剣がハーヴェイの利き腕を狙う。
白い軌跡が空を裂いて迫りくるのを目に捉えつつ、ハーヴェイは腕甲の下で指を握り込んだ。
刃をきらりと左斜めに返して、体を右に開く。
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ギュイィーンッ!
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位置を替え、再び両者の間で火花が散る。
――が、今度の交錯が長く続く事はなかった。
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「……甘いぜ」
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襲い来る剣を、振り上げた愛剣の腹で応じたハーヴェイは、そのまま大薙ぎに腕をぶんと振り払ってセスの剣を跳ね上げる。
ウエイトの軽いセスは、地に足をつく間も貰えずに勢いつけて後ろへふっ飛ばされた。
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「うわっ」
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即座に体勢を立て直す事を断念し、慣性に従い空中で回転して勢いを殺すも、疲労の蓄積した足は砂地を踏みしめ切れず。
地面に転がる様にして受身をとったが、最後によろりと体勢を崩した。
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宙と地を転がった余波で目を回し、次の行動に移るまでに数秒の間。
回復した思考が僅かなタイムロスに警告を鳴らした。
と、その時――
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「っ!」
「……勝負あったな」
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低い声と共に頭上に影が落ち、冷たい刃が喉元に突き付けられる。
地に手をついた姿勢のままで固まったセスに、ハーヴェイはにやりと口端を上げた。
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絵:過去TOPより
文:日記断片より
なんとなくくっつけられるかな?と思って絵と文を一緒にUP(笑)
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手合わせしている風景だけを切り取って描写したこの文章
実は、幻水用として書いていた訳ではないとある文の戦闘シーンを
幻水仕様に手直ししてしまった…文だったりするのですが…
リサイクル・リサイクル(違うだろうっ/苦笑)
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日記にも書きましたが
我が家のセスとハーヴェイは良く手合わせをしています
そして、どうもハーヴェイ相手には負けん気擡げるセス(笑)
この後の再戦では、
砂かけ目潰し攻撃が出たり、最後は素手の殴り合いにエスカレートして
シグルドとケネス辺りが止めに入った……かもしれません(苦笑)
06/05/18
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