*** 夢〜シュリ&セス〜*** *** ***
――こんな夢をみた。 *** 旅の途中、船に乗るためにやって来た港町で 僕と親友とセスが、ふざけ合いながら 波止場を歩いている *** *** *** *** *** 毎朝の習慣である鍛錬の為に浜辺へ降りてきたセスは、朝焼けの下に先客を見つけて、おやっと眉をあげた。 「シュリ君。今日は随分と早いんだね」 珍しくぼんやりとしていたらしい少年は、一拍置いて振り返った。 「夜更かしでもしていたのかい?」 シュリは昇り始めた太陽を映しこんで暁色に染まった瞳を、ゆるりと海へと戻した。 「僕と親友とセスが、一緒に旅をしていた」 *** ――親友はこの群島を旅したことがあったと言っていたから *** 「あいつは相変わらずの調子で、次に乗る船に皆を先導していたんだ。 セスはあいつに引きずられていて、僕はそれを笑って見ていて…そんな夢だった」 「ありえない、夢」 ポツリと零れた言葉に、シュリは目を瞬いて隣を振り向いた。 「彼は、あまり笑ったりする人ではなかったんだけど、夢の中ではびっくりするくらいに陽気な笑顔を見せていた。 *** ――自分と彼、
彼とシュリ、 シュリと自分 *** 「そういえば…」 「セス?」 今度こそ堪えきれずに、セスは吹き出した。 「そこまで笑うことだったか?」 *** ――そんな所は、150年経っても『相変わらず』だったんだな。 ……テッド *** 呟きは打ち寄せる波音にかき消されて、シュリの耳に届くことはなかった。 *** *** *** *** ――こんな夢をみた 戯れ調子のまま船に乗り移ろうとして渡し板を踏み外したテッドを、 俺と、テッドと、シュリと。 ついぞ三つの線が交わることはなかったけれど END***** 2006/03/03・・・・・・・・・・ |
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