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めぐる日に晴れをよぶ 空に今も命の音がして 一陣の風は吹き…
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風の分身
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. . 暗い船倉から階段を上り甲板に足を踏み出た瞬間、太陽の直射を受けて視界は真白に塗りつぶされる。 「っ…」 今度は用心して、目を細めてゆっくりと外へと体を進める。 ――と . ぶお…っ + 「!」 青い風が横切った。 . + + + . かざした手のひらの向こうに透けて見える太陽。 翻った布の端に頬を打たれて、シュリは我に返った。 「――セス?」 湿気た帆布を乾かす作業をしていた筈が、いつの間にか青年は風と布と戯れるように甲板を駆け始めていた。 「あれが今回の作業工程の一つ……なわけは無いな」 呆れたように呟きながら、抱えていた布を甲板の端に下ろす。 「俺は海国の出身だから船上の仕事には慣れているんだ。今回はたまたま懐に余裕があったから客員として乗っていたけど、普段故郷に帰るときは水夫の一員として船に乗り込んでいるしね。気にしなくていいよ」 言葉に嘘はなく、船上の作業に手馴れた彼は、一人で自分とグレミオを足した以上に役立っている。 「おーいセス。 そのまま帆布と一緒に飛んでくなよーっ」 甲板を通りがけに声を掛けた水夫に、青年は笑顔で手を振り返す。 「今日は風が強いからなァ。 気をつけないと凧になって空にまであがっちまうぜ!」 暗く、カビ臭い船倉で湿気を帯びてじっとりと重くくすんでいた帆布が、駆ける彼の後ろで軽やかに翻った。 . 瞬間 甲板を吹きぬけた、 青い風 なびく生成りの布はまるで空を飛ぶ鳥の翼のようで 青年の駆けた後には、風の残像が
. . 設定…話の流れとしては小説部屋「Crossing」の一部になります 08.5.30 (後書き) |
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